今日、エアチェック・テープの整理をしていたら思わぬ見つけものをしました。
ブルックナーの交響曲第３番のノヴァーク版第１稿の２楽章のみの異稿（アダージョ第２番、1876年）の世界初演のテープです。
1980年5月24日ー26日に「ウィーン芸術週間」の一環として、アバド、ＶＰＯがムジークフェラインでこのアダージョ第２番を取り上げました。このうち5月25日の演奏会の模様は1980年11月26日にＮＨＫ−ＦＭで放送されたのですが、そのときのエアチェック・テープです。
交響曲第３番の第1稿（1873年）の第２楽章にはワーグナーの引用がたくさんあり、後半では「タンホイザー」の巡礼の合唱のテーマが出てきます。これはすぐにわかるほど「タンホイザー」そのものです。
巡礼の合唱のテーマは金管で奏でられるのですが、ヴァイオリンはシンコペーションで支えるようになっています。
これを1876年のアダージョ第２番では伴奏音形に変えていますが、もっと「タンホイザー」になっています。
第２稿以降の版ではこの「タンホイザー」のところは無くなってしまいます。第２稿、第３稿も魅力溢れる曲ですが、ワーグナーからの引用に溢れる第１稿はブルックナーのワーグナーへの尊敬の念が溢れているようで格別のものがあります。
第１稿：インバル、フランクフルト放送交響楽団（ＣＤ）
アダージョ第２番：アバド、ＶＰＯのエア・チェック（ライヴ）
第２稿：ハイティンク、ＶＰＯ（ＣＤ）
第２稿：エーサー版はマタチッチ指揮のエア・チェック（ライヴ）
第３稿：カラヤン、ＢＰＯ（ＣＤ）