《URANIA盤「展覧会の絵」》      (最終改訂:2007.4.2.)
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Urania, RIT 55.203  「展覧会の絵」1956年3月7日、RAIミラノ

2006年6月にカラヤン指揮、RAIミラノ交響楽団によるとされるムソルグスキー(ラヴェル編)組曲「展覧会の絵」のディスクがリリースされました。
Urania, RIT 55.203

このディスクに収録されている音源について、「クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団の1970年頃の演奏とされているものと一致しました。」とのご教示をいただきました。
(2007.3.8.《NEWカラヤンBBS》への都志見さんのご投稿です。)

この度1970年ころの演奏とされるクーベリック指揮、バイエルン放送交響楽団の演奏によるムソルグスキー(ラヴェル編)組曲「展覧会の絵」の音源を聴く機会がありました。


音源1:URANIA盤CD,RIT55.203、カラヤン指揮/ RAIミラノ交響楽団、1956年3月7日、RAIミラノ
音源2:クーベリック指揮/バイエルン放送交響楽団、1970年頃
音源3(参考):カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、1965年録音(CD:DG,UCCG-5051)
音源4(参考):カラヤン指揮/フィルハーモニア管弦楽団、1955年,56年録音(CD:AU 03647-2)

演奏時間 4つの音源の演奏時間の比較
クーベリックの演奏会記録 クーベリックの演奏会記録
聴き比べ 聴き比べた印象です



演奏時間

3つの音源の収録時間の比較です。
曲目 音源1
(URANIA盤CD)
音源2
(クーベリック/BRS)
音源3
(カラヤン/BPO,65年DG)
音源4
(カラヤン/PO,55,56年)
プロムナード 5'36" 1'33" 1'49" 5'11"
1.こびと 2'10" 2'45"
プロムナード 0'55" 1'15"
2.古城 5'20" 4'17" 4'36" 5'24"
プロムナード 0'28" 0'42"
3.デュイルリーの庭 1'06" 1'06" 1'04" 1'04"
4.ビドロ 4'03" 2'35" 2'50" 3'51""
プロムナード 0'50" 1'01"
5.殻をつけたひなの踊り 1'12" 1'09" 1'12" 1'11"
6.サミュエル・ゴールデンベルクと
シュミュイレ
2'18" 1'47" 2'18" 2'20"
7.リモージュの市場 1'26" 1'19" 1'26" 1'22"
8.カタコンブ 4'17" 1'55" 2'14" 4'27"
死者とともに 2'00" 2'23"
9.バーバ・ヤガーの小屋 3'30" 3'11" 3'30" 3'27"
10.キエフの大きな門 5'56"
(5'57"-拍手)
4'15"
(拍手なし)
6'52" 6'13"

・音源1のURANIA盤は10トラック
・音源2のクーベリック盤、参考音源3のカラヤンDG盤は15トラック、参考音源4のカラヤンPO盤は10トラック


クーベリックの演奏会記録

クーベリックの演奏会記録に1970年頃に該当する演奏会があるかをみていきます。
"Rafael Kubelik's Page"というサイトがあります。
(URLはhttp://www2g.biglobe.ne.jp/~KUBELIK/kubelik.htm)

このサイトに"DATA(Exel File)"というファイルがあります。
(http://www2g.biglobe.ne.jp/~KUBELIK/K010219.xls)

このファイルの637という項目が該当します(1970年6月4日、5日の演奏会)。

1970.6.4.,5.
ムソルグスキー(ラヴェル編)組曲「展覧会の絵」
ミュンヘン、ヘラクレスザール
クーベリック指揮/バイエルン放送交響楽団



聴き比べ

組曲「展覧会の絵」の「キエフの大きな門」を聴き比べました。

・音源1:URANIA盤の「キエフの大きな門」の収録されているトラック(10トラック)は6'26"の時間表示ですが、演奏は5'56"までです。
少し間を置いて拍手が収録されています。

・音源2:クーベリック盤の「キエフの大きな門」の収録されているトラック(15トラック)は4'40"の表示ですが、演奏は4'15"までです。
拍手の収録はありません。


「キエフの大きな門」の終り近くの大太鼓について

・音源1:URANIA盤の5'02"以降で、5'11"-5'12"あたりのところに出てくる2回目の大太鼓が、早めに叩かれているような(間をおかずに叩くという印象)ところがあります。
・音源2:クーベリック盤では3'43"-3'44"のところが同じ箇所ですが、大太鼓が同じように間をおかずに叩かれています。
・音源3(参考):カラヤンのDG盤では該当箇所はこのような大太鼓の叩き方にはなっていません。


「キエフの大きな門」を聴き比べ、URANIA盤に収録されている演奏はクーベリックの演奏という印象が強まってきました。
手持ちのカラヤンのディスクで最も初期の「展覧会の絵」は今回音源3(参考)とした65年のDG盤です。
1955年、1956年にフィルハーモニア管弦楽団とスタジオ録音した「展覧会の絵」との聴き比べも興味深いと思います。


追記1(2007.4.2.):
この度カラヤン指揮/フィルハーモニア管弦楽団の1955年,1956年録音の音源を聴く機会がありました。
演奏時間はディスク表示を上記「演奏時間」に追加掲載しました。

「キエフの大きな門」の終り近くの大太鼓について

「キエフの大きな門」の該当箇所の大太鼓の叩き方は音源1(URANIA盤)や音源2(クーベリック盤)とは異なり、音源3(カラヤン/BPO,65年)と同じように叩かれています。


追記2(2007.4.2.):
都志見さんから「展覧会の絵」のクーベリックの特徴として次の2点を教えていただきました(2007.3.31.)。
特徴1:「Gnomus」の出だし、最初にffで出たフレーズがpで繰り返される時、はっきりテンポを落とすのがクーベリック。
特徴2:「Bydlo」で、その主題がfffで再現されるところ、5度上昇の音形をするどく跳ね上げるように演奏させるのがクーベリック。

この点についてこの度聴く機会のあったカラヤン/PO(55,56年)も含めて比べてみると、
特徴1については音源1(URANIA盤)や音源2(クーベリック盤)では表れていますが、音源3(カラヤン/BPO,65年)、音源4(カラヤン/PO,55,56年)では聴かれませんでした。

特徴2についても同様で、音源1、音源2ではこの特徴を聴き取ることができるのに対し、音源3、音源4では聴かれませんでした。


このように見ていくと、音源1のURANIA盤に収録されている「展覧会の絵」はクーベリック指揮による「展覧会の絵」と考えるのが妥当だといえると思います。