私の投稿が宿題（？）を与えてしまったのですね。それに、「もうひとつの演奏史」に掲載されてしまったり。ちょっと驚いたというか、恐縮しているというか。
ところで、もう余り「落穂」は見当たりません。あれだけ精緻な作業をされているわけですから、当然と言えば当然ですが。もうひとつだけ、気がついたのは、マルティヌーの演奏記録です。ONTOMO MOOKでは、５１年１０月１２・１３日の演目は、合奏協奏曲ではなく、「２台のピアノと管弦楽のための協奏曲」となっています。しかし、おそらくは、プログラムではそうなっていて、ピアニストの都合等の事情で合奏協奏曲になったように思われます。
もしかすると、お気づきかもしれませんが、私は、カラヤンの近現代の音楽の演奏に少々関心をもっています。オネゲルやベルク、シェーンベルクなどの演奏は、印象ぶかいものでした。それで、マルティヌーとか、ストラヴィンスキー、ペンデレツキの演奏記録に興味をもっていました。
カラヤンは、現代音楽に無関心だったとされますが、アーヘン時代には意外なほど多くの同時代の作品をとりあげています。おそらくは、カラヤン自身がしばしば述べているとおり、「現代音楽に耳を閉ざしたことはない」ものの、「自分に共感のもてる作品のみを取り上げた」のだと思います。ただ、そのような作品が次第に少なくなってゆき、一旦演奏した作品にも確信がもてなくなり、最後には現代音楽そのものに失望したような気がします。
ちなみに、ナチス加入の経緯を典型に、カラヤン自身の発言は、非常にしばしば真実を捻じ曲げているように言われますが、ほとんどは事実や本心のように思われます。最近のオズボーン氏の著書は、おそらく初めてそのような観点から、事実関係やカラヤンの関心などを洗い直しており、注目されます。伝記としての出来も出色だと思います。