Concolorさん こんばんは。
本日、バレンボイム−シカゴ響による主題の演目によるコンサート
にいってまいりました。マーラー9番と同じ東京文化会館です。
結果はトータルでは初日のマーラーを遥かにしのぐ素晴らしい
体験となりましたことをまずはご報告したいと思います。
少々長い文章ですが、この興奮を皆様と分かち合えさせていただけ
れば幸いです。
1曲目のパヴァーヌは縮小編成でしたが、逆に楽器のディテールが
よく聴こえ、もちろん冒頭のホルンを含め各ソロの腕前は文句の
付け所が無く、この曲の演奏から本日の素晴らしさの予感はあり
ました。
死と変容は、意外でしたがこのコンビではCD録音していないという
ことで非常に興味深々でした。弦を中心とした合奏の死を現した
深さも印象的でしたが、曲半ばでは店舗をこまめに変え、早いフレーズ
ではむしろ生の躍動を生き生きと感じさせ、２つの異なるモチーフの
微妙に交錯した、オーケストラの力量というよりも指揮者バレンボイ
ムの計算が見事に音楽として結実した、一見大胆な解釈のようでもあ
りかつこれが本来の曲の魅力だったのではと思わせるような目が覚める
ようなオーケストラ・ピースの力演といった趣でした。
休憩をはさみ、メインのチャイコフスキーの悲愴が始まりました。
本日の演目のうち、このコンビの力量と特性からいってもっとも
私の期待していたものですが、その期待は裏切られず、というより
も1楽章の冒頭から、最終楽章の消え入るような弦の弱音で閉じる
終結部までひとつの隙もなくかつ驚異的な合奏力で推進していく
その演奏は、感嘆を通り越して組み尽くせないような感動を聴衆に
与えてくれました。私は今回の演奏会に急遽行くことになってから
このコンビによるテルデックのCDを買って「予習」していたのですが
そのCDは本拠地でのライブでありながら本日の演奏の前には影も形も
しぼんでしまうほどの超絶的な名演であったいいたいと思います。
演奏が終わった後の拍手とブラボーが余りにも長く続いたので、アンコール2曲を披露（精霊の踊りとルスラン序曲）してくれたのですが、これも演奏後いつ終わるともしれない喝采の連続でしたので、バレンボイムがコンマスと腕組みをしておどけて裾に隠れるようにしたことで
やっと幕が閉じられましたが、演奏会全体では日本の風土にオーケストラも慣れたこともあったのか、はたまた通常形式のコンサートは日本では今日が千秋楽であったことも影響したか、無理をしてでもこの日の
チケットを入手した自分の慧眼を誉めてやりたいほどの素晴らしい
コンサートでした。
本当にこのコンサートにいって正解でした。楽屋口では副コンマスの
デビット・テイラーのサインと握手も思いがけずにしてもらうことが
でき、大きな出費でしたがそれに十分見合うだけのものがありました。