News Archive

2002

▲UP2月27日

モスクワ公演69年5月29日

ARS NOVAより発売されたモスクワ公演69年5月29日の音源を収録したCD、ARS008を確認しました。

ジャケットはこのレーベルのいままでのシリーズ同様、紙製の見開きタイプです。
中にはカラヤンの旧ソヴィエト連邦での演奏について、さらりと10行ほどの解説が書かれています。
62年のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団との演奏会で採りあげたのはブルックナーの交響曲第7番のようですが、こちらの解説には8番とあります。

カラヤンはこのベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との演奏旅行の前にも、上記のようにウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と62年に、そしてミラノ・スカラ座と64年にソヴィエト連邦を訪れており、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団との音源は現在までのところ確認されていないながら、スカラ座との音源では9月25日のヴェルディ:レクィエム翌26日の《ボエーム》全曲が過去に発売されています。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との69年の訪問時では、3回あった演奏会の全ての日から、全曲ではありませんがMELODIYAよりLP化されていました。
翌日の《英雄の生涯》は他レーベルからCD化されていたようですが、29日分の音源は、確認されている限りでは、今回が初CD化です。
このときの3日間の演奏は全てステレオ収録です。

さて、気になる音質です。
LPでのブランデンブルグ協奏曲については、ちょうど今年のお正月に書いたところです。
演奏が素晴らしい上に、音質の塩梅がこの曲にちょうど良く、実に聴きやすい音源でした。
今回のCD盤は、冒頭ずいぶんこもったところがあるものの、基本的にはLP盤の音質に似ており、心地好いチェンバロも相変わらずです。

ショスタコーヴィチの交響曲第10番、こちらはLP盤よりずっと聴きやすくなりました。
ダイナミック・レンジもまずまず、この時代の音源としては良好です。
ヒス・ノイズは気になるほどではありません。
LP盤と較べるとわずかにこもっていて、やたらと耳に響いた打楽器群の音が抑えられた替わりに、各楽器の解像度が多少低下してしまいましたが、全体として丁寧に仕上げられています。
年代を考えれば、ライヴ音源にこれ以上のものを求めるのはちょっと難しいかと思われます。
鮮明である証拠に、客席の咳が頭に来るほどよく聞こえます。
ただ私が見た、Towerの店頭での紹介にある「LPは音質最悪でしたが、今回は抜群に向上しました!」というのはちょっと大げさです。
金管の強奏で若干音が割れています。

両曲とも、充分満足できうるものでした。
他の2日分の音源も、MELODIYAのLPでさえ出なかった《コリオラン》序曲、《運命》、ディヴェルティメント第17番ともども、今回のような音質でCD化して欲しいところです。

LiveにCD番号の追加をおこないました。
はあぁ……

参考リンク:

▲UP2月26日

ORFへの譲渡

ウィーンにあるHerbert von Karajan Centrumは、実体はヘルベルト・フォン・カラヤン財団とか、TELEMONDIALといった、生前のカラヤンが残した組織がほぼ一体化されたもので、建物はその象徴といった塩梅なのでしょうか。
とにかく現在ではKarajan Centrumを管理するのが、カラヤンやその関係者の公的な組織であることは間違いありません。
ウリ・メルクレなんていまどうしているのでしょうね?

その本家の窓口であるHerbert von Karajan Centrumは、昨年の3月にORFへカラヤンの録音物・映像作品合わせて1,000以上を譲渡したそうです。
理由は「保管・放送のため」とあります。
私の全くの勘ですが、別に法的・金銭的な譲渡ではなく、放送その他に関しての制限の緩い貸し出しといったところではないでしょうか。

さて、その「貴重な遺産」の実際の放送が、今月あたりからぼちぼち実現されるそうです。
日本に住んでいる人間はいまのところさっぱりその恩恵に預かれませんが、Karajan Centrumにその放送時間の予定が掲載されています。

Focus on Karajan in ORF and 3sat

3satというのは、どうやらドイツの放送局のようです。

Herbert von Karajan CentrumRsearchには、たとえばイタリアのRAIでの放送記録等がかなり詳細に出ています。
『philharmonic autocrat1』がこの資料を元にしているのは明らかなのですが、Karajan Centrumが放送の記録を把握しているということは、ひょっとするとテープが残っているのかも知れず、短絡的に考えられることではないながら、放送局から譲り受けているテープもあるのかも知れません。
上記ORFへの譲渡にこれらのテープが混ざっていれば、やがて厳選された録音物が陽の目を見るときがあるかも知れませんね。

ひたすらカラヤンを撮影した地球を何周もするようなフィルムやテープがスイス銀行の地下金庫に保管されている、などという話がありましたが、金庫に保管ではずっとそのままになってしまうわけです。
終戦からベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を継ぐまでのざっと10年のあいだには、世界各地の色々なオーケストラと、カラヤンの録音物に慣れ親しんでいる人間にとってはちょっと違和感のある曲を様々に演奏していますから、どうにか音盤化されないものでしょうか。
《カルミナ・ブラーナ》なんて絶対残っていそうですが。
ライマーの協奏曲だって、作曲者とライヴで演奏していますし、他にペンデレツキやアイヴスだってあるはず。
もちろん未発表音源であれば、聞き慣れた曲でも構いません。

以上、希望的観測でした。

ARTのリパッティ

Classical CD Information & Reviewsさんに、先日のリパッティとの競演盤(ART)が紹介されています。

リパッティとカラヤンの,シューマンとモーツァルトの協奏曲
Classical CD Information & Reviews内)

おお、ジャケット予想図当たったぜ〜、ってよく見りゃ一番大事なリパッティの名前が入ってないし(w。
失礼しました。

▲UP2月20日

ショスタコーヴィチ:交響曲第10番モスクワ公演

Classical CD Information & Reviewsの加藤さんからのお知らせです。

いままでMELODIYAのLPでしか発売されていなかった、ショスタコーヴィチを前にしての演奏として有名なモスクワでの69年5月29日分の音源が、ARS NOVAからCD化されます。
曲目はJ・S・バッハ:ブランデンブルグ協奏曲第1番とショスタコーヴィチ:交響曲第10番、LPでは切り離されての発売でしたが、今回のCDは1日分を丸ごと収録しています。

Karajan & Berlin PO - Live in Russia 1969@TOWER.JP内)

TowerはARS NOVAに力を入れているようなので、ここで購入するのが妥当でしょう。

ああ、1週間前にやっとLP見つけたのに……
Towerの紹介では第2楽章の高速さが強調されていますが、この演奏の凄みは、第4楽章残り20秒からの高速さにある、と私は思います。

参考リンク:
カラヤンのモスクワ・ライヴがついにCD化
Classical CD Information & Reviews内)

▲UP2月16日

仏EMI3月15日発売分

えらく不確かな情報ですが、ひょっとすると私がとても好きなアルバムが入っているかも知れないので、一応ご報告。
仏amazonで、おそらくEMIの仏企画と思われるCD5点が3月15日に発売予定となっています。

実を言うとEMIかどうかもわからなかったのですが、オイストラフの名前があるベートーヴェン:三重協奏曲のCDと発売日・価格が同じなので、あたりをつけました。
Beethoven triple karajanはART盤も出ていますし、その日本盤もそろそろ出るはずなので、取り立てて話題になるものでもありません。

Dvorak symphonies 8 9はおそらく70年代の録音でしょう。
相変わらずスラヴ舞曲の8番は無視ですか。

EMI音源であるならWagner ouvertures preludは、『ワグナー管弦楽曲集I&II』からの抜粋でしょう。

Offenbach gaite faustとはフィルハーモニア管弦楽団との録音のことでしょうか。

私が注目するのはKarajan a parisです。
『カラヤン・イン・パリ』のことでしょうか。
私はこのアルバムが大好きなので、ART化されたのなら、フランスに注文を出してでも買うのですが。

以上、遠回しに人柱を募集してみました(w。

▲UP2月12日

NHK『夢伝説』

NHKの総合TVで毎週月曜23:00〜23:45(近畿地方は木曜午前0:15から)に放送されている『夢伝説』という番組があって、次回2月18日(近畿地方21日深夜)の放送ではカラヤンを採りあげるようです。

番組ホームページ -夢伝説-NHK内)

ゲストは岩城宏之と中丸三千繪。

放送開始当初だったか、番組宣伝で57年11月3日のものと思われる映像がちらっと写っていたので、いつかカラヤンも出るのだろうと思っていましたが、やっとですね。
今日帰宅後たまたま観ていた内容からすると、何だかとっても面白くなさそうな番組ですが(w、NHKはカラヤンの映像をどっさり持っているはずですから、眼をむくほどすごい映像が出てくることを期待します。

▲UP2月10日

papyさんとこと加藤さんとことConcolorさんとこ

今日のネタは他サイトに頼ります(w。

カラヤンとコンサートホール(日本編)

papyさんの『ヘルベルト・フォン・カラヤンの魅力』に、「コンサート・ホール」という新しいコンテンツが追加されています。

カラヤンとコンサートホール(日本編)
『ヘルベルト・フォン・カラヤンの魅力』内)

カラヤンと縁のあるホールについて手っ取り早く知りたいときに重宝できそうです。
(日本編)」とあるので、外国編も予定されているのでしょう。
ホール内部の使いやすい画像を捜すのに難儀しそうですが、是非とも眺めるだけで楽しくなるページになること期待しています。

疑似ARTのチャイコフスキーについて

71年チャイコフスキー:交響曲第5・6番疑似ART盤について、Classical CD Information & Reviewsさんにレヴィューが掲載されています。

カラヤンのチャイコフスキー交響曲第5,6番1971年録音
Classical CD Information & Reviews内)

うちのサイトをご覧になっておきながら、まさか買うつもりがないなどという不届な方はいらっしゃらないでしょうが(w、もし逡巡されているのであれば、参考にされてみてはいかがでしょう。

Herbert von Karajan dirigiert Anton Bruckner

いつも色々な情報を下さるConcolorさんのサイトが本格稼働だそうです。

『Herbert von Karajan dirigiert Anton Bruckner』

いっそのこと全演奏会記録をデータ化して下さい(w。

▲UP2月6日

『The Art of Conducting』

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団初来日時、内幸町にあった旧NHKホールでの57年11月3日の演奏会は、NHKによってラジオのみならずTVでも放映され、また一昨年・昨年には残されていたテープにより映像とステレオ音声での再放送がありました。
商品としてはLDやDVDで《ドン・ファン》のわずかな部分が、また《運命》のこれまたほんのわずかな部分がLDで発売されていましたが、その《運命》をほんの少しだけ収録しているWARNERの『The Art of Conducting』というドキュメンタリが、DVD化されます。
現在のところヨーロッパ仕様のみでの発売で、リージョン・コードは問題ありませんが、再生方式がPALですから、コンピュータに搭載されたDVDドライヴでないと視聴できません。

Art Of Conducting - Great Conductors Of The Past
英Amazon内)

確か『ヘルベルト・フォン・カラヤン』にも記述のあった、ガーディナーがカラヤンのことを「悪魔的」と言っているインタヴィューはこのドキュメンタリに収録されているものです。
私は某有名カラヤン・サイトの管理者の方が作成されたこの日のライヴCDを聴き倒しているところです。

ここに挙げた画像は当日の入場券です。
半券ではないというのが実にもったいない話ですね。

なお、何故か様々な演奏会記録に掲載されていませんが、やはり先年TV放映されたバッハのアリアは、この日のアンコールに演奏されたものと思われます。

参考リンク:
旧NHKホール(内幸町)永田音響設計内)

▲UP2月3日

映像作品第I期ベートーヴェン全集

外国盤は全然発売されないのに、ひとり張り切ってカラヤンの映像作品をDVD化する日本のUNIVERSAL CLASSICSから、UNITELへの第1期ベートーヴェン全集4枚組が、\14,400でアナウンスされています。

クラシック新譜速報 2002年3月
UNIVERSAL CLASSICS内)

収録曲は以下のようになっています。

UCBG-9002収録内容

クラシック音楽の「限定盤」はいつまで経っても買えるので、急ぐこともないでしょう(w。

これによりFilmographyを更新しました。

▲UP2月2日

DGフランスの独自企画

「ジャケットの中にジャケットがある一見変わったフランス独自企画」という説明だけでは何のことだかさっぱりわからないものの、何となく収集欲をかき立てられそうな DG FRANCE LEGENDES DU CLASSIQUE というシリーズが、カデンツァさんで紹介されています。

輸入盤メジャー・レーベル新譜2002年2月

リンク先のページのちょうど真んなか辺りです。
カラヤンの盤は9つほど掲載されています。
まさかORIGINALSシリーズと同じなのではないでしょうね。

▲UP2月1日

OIBPのドイツ・レクィエム

ドイツ・レクィエム(2回目)がOIBP化です。

ブラームス - ドイツ・レクイエム カラヤン/BPO、ウィーン楽友協会合唱団、ヤノヴィッツ、ヴェヒター、(1964)
HMV内)

いままで出ていませんでしたよね?

71年チャイコフスキーの疑似ART盤

HMV JAPANの企画によりDISKYから発売された71年チャイコフスキー:交響曲第5・6番疑似ART盤、聞き終えました。

商品について触れますと、2枚まとめて入るタイプの厚めのケースではなく、1枚ずつCDの入った1枚用のケースが2つ、これが初出のジャケットと同じデザインの紙のカヴァーに入れられています。
1枚の厚みで2枚入るタイプのケースが現在主流だと思われますが、あれは経費が余計にかかるのでしょうか。

それぞれのCDケースには、やはり初出から流用した、カヴァーと同じデザインのジャケットが入っています。
ここに挙げたのは5番のジャケットです。
解説等は一切ありません。
番号はHR 708262です。

さて、肝心の音質についてです。
これはもう抜群に向上しています。
比較対象は両曲とも東芝EMIのHS-2088盤。
いままで湯葉のような皮膜に覆われていた音が、実に明瞭になりました。

低・中・高音域のバランス、《悲愴》はちょっと私には低音が効きすぎています。
とくに第1楽章は、わが家の小さいスピーカから2〜3メートル離れた位置にあるコップの水がさざ波立ちそうなほどです。
HMVのページに「低音の魔力!」とありますが、「魔力」かどうは別として、確かに威力はあります。
それと第3楽章のシンバルの音が実にきれいに響きます。

一方5番、《悲愴》に較べるとずいぶん大人しめの低音です。
私にはこちらの方がバランス良く聞こえました。
ただしこれは私が《悲愴》の方を先に聴いたため、馴れてしまったのかも知れません。

私はこのときの録音を4・5・6番合わせてひとつと考え、そうして丸ごと好むのですが、そのなかで、あとは好悪の判断が曲そのものに対する好みでしか選べないため、もっとも好む5番より、いままで5番ほど良いとは思わなかった《悲愴》の方が、今回の盤では素晴らしく思えました。

《悲愴》を好む方は聴いて損はないはず、完全に私の判断ですが、いままでこのときの5番をとくに好んでいた方には、ほんの少し期待外れになるかも知れません。
第4楽章フィナーレの運命の動機、カンナをかけていない棒杭を無理矢理地中に埋め込むような弦の威力、弓の毛はささくれ立って、いつもきれいにまとまっているマースの髪が乱れ放題になっているのが眼に浮かぶような激しさが、ごくわずかながら、失われてしまったように感じられます。
輪郭がはっきりしたせいで、想像力の入り込む余地がなくなったのかな。
期待しすぎたか、思い入れが強すぎるか。
それとも、尾籠な例で恐縮ですが、素っ裸より1枚くらいは下着をつけている女性の方に魅力を感じてしまうのと一緒でしょうか。

両曲とも2回ずつほど聴いてみましたが、もう少しゆっくり、繰り返し聴いてみたいと思っています。
少なくともそう思わせるだけの確かな魅力があるのは相変わらずなわけです。

参考リンク:(この疑似ART盤が発売されるまでの経緯)
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 チャイコフスキー:交響曲第5・6番
アリアCD内)


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